毎日教習で暇だから 笹森家の一族(母方家も含む)の物語を書こうと思った
私と兄は3歳離れた兄弟で、一緒によく遊んでいた。遊んでいたし、遊んでくれていた。
兄妹っていうのは、そういうものだと思っているんだけど、
お兄ちゃんが気になるもので、
全部の遊びが楽しそうで輝いていて、
一緒に遊びたくて遊びたくて、
やってることが気になって気になって仕方がなかった。
だから兄が、兄の友達と遊ぶのに一緒に連れて行って欲しかったし、仲間に入れて欲しかったし、むしろ入れてもらえることが当たり前くらいに思っていた。
持ってるものが羨ましかったし、特別に見えた。
やってることが一番楽しそうで、一番カッコよく見えた。
その心を知っていたからか。
はたまた天性のものなのか?
兄は見事に妹(わたし)を使うのが上手だった。
わたしの、上記した気持ちを知ってか、(感じ取ってか)セコく、異様なまでにいたずらという意地悪が好きだった。
そして兄はなにかするには必ず交換条件を出してきた。
ザリガニを釣る為の竿を貸して貰うの条件は、ザリガニのいる穴に10秒手を突っ込む事だった。
ザリガニの餌(するめやニボシ)を貰う条件は、一緒に来ていた自分の(兄)友達を沼地に押して落とす事だった。
母に、一つづつ買ってもらった好きなお菓子を交換する時、兄の梅ガム一枚に対しての交換条件の、わたしの差し出さなければいけないお菓子は小梅ちゃん大玉一粒だった。
祖父母から二人で使えともらったお小遣いは、兄は自分の物を買い、わたしは巧みな言葉遣いな騙されて、兄の欲しいものを買わされた。
流行っていたミニ四駆を走らさせて貰うのに、出された条件は、とってきたイボガエルに頬ずりする事だった。
しかも特大。
そう、わたしは遊ばせて欲しいから、全ての条件をクリアしてきたのだ。
そして、はじめは一つの事に対しての交換条件だったけれど、途中からこの世の中を覆す様な交換条件が作られた。
そう…それこそが…
"言うこと無限"
この"言うこと無限"(いうことむげん)は世の中の全てを無視していた。
この条件を飲んだら最後、(兄の)言うことを無限に聞かなければならなかったのだ。
奴隷の様に使われるのは分かっているのだが、私はこの"言うこと無限"をなんども飲んできた。
なぜか。
ある時は梅ガムが欲しくて。
ある時は車の助手席に乗りたくて。
ある時はドーナツが一口食べたくて。
ある時は…
本当に、超しょうもない対価と引き換えに、自分の全てを犠牲にしてきた。
ちなみに"言うこと無限"の使い方はこうである。
例1
兄「お茶いれてきて」
私「じぶん「"言うこと無限"」
私(魔法にかかり立ち上がる)
例2
兄「これ持ってみ」(巨大なミミズ)
私「む「"言うこと無限"」
私(手が勝手に動く)
例3
兄「泣き止めよ!」(兄が母に怒られるのも秒読み)
私「ひーん、えーん、えー「"言うこと無限"」
私「……っく……」
っといった具合である。
この"言うこと無限"、兄が小学校卒業するまで(小学校は6年生まである)、ずっと続けられてきたのだ。
途中で、私も負けじと条件をだして、撤回させるのだか、なんだか気付けばまた"言うこと無限"に縛られていた。
兄妹間でははちゃめちゃだった兄。
では、小学校ではどうだったのか?
長くなったので、続く。